「エリカは二年前に海で溺れた。……生きていたら、お前と同じ年齢のはずだ」

「そう、なんですか」

「本当にすまない。アンナが名前を考えたところで、止めるべきだった。……アンナはまだ、エリカのことを受け止められていない」

「……はい」

何を話すのか考えるように、ウィリアムは黙る。

「あの、私は、エリカさんに、似ているんですか?」

エリーの質問に、ウィリアムはかすかに笑った。

「全く似ていない」

「え?」

「アンナは似てると言っているが、それも自分に言い聞かせてのことだろう」

そう言って、ウィリアムは少し身を乗り出し、エリーの頭を優しく撫でる。

「大丈夫。お前はエリカの代わりじゃない。お前は、お前だ」

その言葉に、エリーは安心したように微笑んだ。

「あの、エリカさんの話、もっと聞かせていただけますか?」

「……辛くないか?」

「私は大丈夫です……ウィリアムさんが辛くなければ、お願いしたいです」

「……ああ」

そう言ってウィリアムは微笑む。