「……どうせこうなるのよ。私の店なんて、失敗するに決まってるんだわ」

小さな声でそう言うリザ。少年は辛そうな顔をする。
エリーはそんなリザを見つめ、そして拳を握る。

「……私にお手伝いをさせてください」

「え?」

「スタッフが増えれば、少しは楽になると思います」

「でも、いくらなんでも客にそんなことさせる訳には」

「お客さんじゃなかったらいいんですね?」

エリーはそう言ってリザの手をぎゅっと握る。

「……私とお友達になってください、リザさん」

「……本気?」

「もちろんです」

真っ直ぐにリザを見つめるエリー。
その頭上には少し呆れた顔をしているリヒト。

「おい」

少年も思わず声を掛けた。

「……何?」

「おれも、手伝うから」

「なんであんたが……」

リザが困ったような顔をする。
少年はスッと息を吸って、緊張したように口を開いた。

「お、おれとお前の仲だろ」

そう言ってほのかに顔を赤くする。
リザは驚いたように目を丸くした。

そして眉を下げて、ふっと笑う。

「……じゃあ、お願いできるかしら」

「はい、任せてください!」

「おう!」

リザに案内され、三人で店の中に入っていく。
更衣室に案内されながら、基本的な内容を教えられる。

エリーの仕事は、メニューをメモして、それをキッチンに伝える。
出来上がったメニューをお客さんの元へ届ける。

単純な内容ではあったが、スタッフの数が足りていない状況ではどうなるのかはわからない。
ちなみに、少年はキッチンに立つらしい。