駅に近付くに連れて、人の数もどんどん多くなっていく。
圧倒されながらも、エリーは好奇心を抑えることをしない。

帝都のお嬢様。
何が何だかよくわからないが、会いに行かなくてはならない気がしていた。
といっても、やはりただのエリーの好奇心だろう。

「人多いね」

その言葉にリヒトがこくこくと頷く。
必死にエリーの髪にしがみついているため、少し痛い。

「新しい店出すんだって」

「わざわざヴィルベルに?」

「そうみたい」

通り過ぎていく人々の会話を耳に入れながら、エリーは駅へと進んでいく。
駅のどこへ行けば会えるのかはわからなかったが、とにかく近くへ行けばわかるだろうとエリーは突き進み続ける。