温かい日差しでエリーは目を覚ました。
ゆっくり起き上がり、枕元で眠るリヒトの姿を確認する。

横を見ると、まだ眠っているアンナと、エリー同様にベッド上で起き上がっているサラの姿。
目が合うと、サラは優しく微笑んだ。

「……おはよう」

「おはようございます」

火炎の都の祭りの時は太鼓の音で目を覚ましていたが、今日はそれがない。

ベッドから下り、窓を開けてみる。ふわりと森の香りがした。
外を見ると、そこには丸い木のテーブルがたくさん。

そしてその周りに座る人々に、自由に歩き回っている動物。
テーブルの上には、ティーカップやお菓子がたくさん置かれている。

「んー」

アンナの声がして、エリーは窓の外から視線を外した。

「おはよう」

「あ、サラ。おはよう」

「おはようございます」

「エリー、おはよう」

軽く伸びをしながらアンナは起き上がった。
そして寝起きとは思えないくらい元気そうに笑った。

「今日は森のお茶会ね。早く着替えて行きましょうか」

「はい!」

すると、サラがクローゼットから三着のワンピースを取り出した。
緑を基調としたものと、茶色を基調としたもの。
エリーが渡されたのは、白を基調としたワンピースだ。

素朴な色合いだが、花が散りばめられていて華やかなデザイン。

「わぁ、素敵ですね」

「そうでしょ? 森の植物を使って作られたんですって」

アンナが楽しそうに笑う。
エリーは感心したようにワンピースをじっと見つめる。

「見てないで着替えて。私お腹空いちゃった」

「はい」

着替え終わると、エリーは起きたばかりのリヒトに見せつけるようにくるくる回った。
リヒトはぼんやりとそれを見ている。