「まぁまぁ、仕事の話はなしにしよう」
「それもそうね」
「あぁ」
美味しそうにおつまみを食べながら、アンナはどんどん酒を飲んでいく。
しかしアンナだけではない。
ダニエルとウィリアムも、酒はかなり飲む方なのだ。
最近になってそれを知ったエリーだが、その量には毎回驚かされている。
「サラがこの場にいたらなぁ」
「仕方ないよ。サラはもう火炎の都の住人なんだから」
「ずっとこっちで暮らしてくれればいいのに」
「……そういうわけにはいかない」
「むぅ」
「サラがまた引っ越してきたら、きっとシェルが悲しむよ」
「そうなっちゃえばいいのよ。意気地なしなんだもの」
「まぁまぁ、彼も頑張ってるよ。多分ね」
三人の話をにこにこと聞いているエリー。
話している内容が分からないわけではないのに、ほのかに虚しさを感じてしまう。
それほど三人の空気感は完成されているような気がする。