エリーは周りを見渡す。
見知った街であることに間違いはないが、人の気配が全くないのだ。
人気がなくなるような時間帯ではないはず。

エリーは少し不安に思いながら、再び足を動かした。
猫の姿が遠くなってしまっていたからだ。

わずかに早足になりながら、エリーは猫の姿を追う。
しかしやはり街に人の姿はない。

完全に音がなくなっているわけではない。鳥の鳴き声もするし、自分の足音も聞こえる。
ただ、人がいなくなってしまっているのだ。


「あれ」

猫の姿がない。
街の様子に気を取られている間にどこかへ行ってしまったのだろう。
なんだか不安になりながらエリーは帰ろうと振り返った。


しかしそこに広がる街は、エリーの知っている街ではなかった。