「普通にお願いしてもウィルは読ませてくれないだろうからね。何か作戦を考えないと」
「作戦、ですか……」
「そう。まずはそうだな……必死にお願いするとか」
ダニエルの言葉にエリーは首を傾げる。
頼み方を変えれば、読ませてくれるということだろうか。
「どうしても読みたいって気持ちを伝えれば、エリーちゃんに甘いウィルのことだし、読ませてくれると思うよ」
「そ、そうでしょうか」
「うん。後はそうだな……読ませてくれなきゃもうごはん作らないって言うとか」
「脅しですか!」
「はは、それか逆にウィルに好物を食べさせて機嫌をよくしてから頼むとか」
「あ、それはいいかも知れません」
ダニエルの案にエリーは顔を輝かせる。
自分だけ本を読んで満足するのではなく、ウィリアムのことも喜ばせたいと思っているのだ。
「でも、ウィリアムさんの好物って何ですか?」
今まで色々な料理を作ってきたが、ウィリアムは何も言わずに淡々と食べてしまう。
表情を見ていても気に入ったものや苦手なものはなさそうに思えた。