近くの扉のない部屋の中には長いナース服の女がいたり、ベッドに半身を起こした寝間着姿の老人が居たりするが、特に害はない。

 害はないというか。

 こちらに興味がないようだった。

 霊というのは大抵、自分はまだ生きているつもりで生活していたり、自分が固執しているなにかを繰り返したりしているだけだからだ。

 助けてもくれないしな、とただ病室に突っ立っているだけの看護師の霊を見ながら思っていた。