「うん、大成功。心臓の病気の方は、ほぼ完治したの。

事故の時足を骨折したからまだ一人で歩くのは難しいけれど、リハビリがうまくいけば、退院して、学校にも行けるって。勉強とかすごく遅れてるから、留年は確実だけど」

「そうなんだ……! じゃあ、これからどんどん回復していくんですよね。よかった……」


 あおいは棒をつかんでいた片手に、ぐっと力をいれる。


「しばらく寝たきりだったから、足ガクガクしちゃって。でも、こうやって歩く練習をするのも、だいぶ慣れて来たのよ」


 愛梨は彼女の言葉をかみ締めるように頷いた。

 よかった、あおいさん、元気になったんだ。


 ほっとした愛梨は、それまで気丈に振る舞っていたあおいの瞳から涙が零れるのを見て、言葉を失う。


「あおいさん……」


 自分でも驚いているように、あおいは困惑しながら涙を拭う。


「ごめんなさい、どうしてだろう……。

最近はあんまり人前で泣いてなかったんだけど。あなたに会ったら、何だか懐かしくて。胸が、苦しくて。

……元気になったこと、本当は、昭ちゃんに一番に伝えたかった」


 愛梨は何と言葉をかけていいか分からず、口ごもっていた。言いたいことはいくらでもあったはずなのに、自分が言えることは何もない気がした。

 あおいは自分で涙を拭いて、やわらかく微笑んだ。