分かっていたはずなのに、あおいの姿を見つけたのが嬉しくて、つい話しかけてしまった。

 急な対応に慣れていない愛梨は、ぐるぐると考えを巡らせながら言葉を紡ぐ。


「ごめんなさい、えっと、私、天龍愛梨っていいます。あの、私、ほんの少しの間なんですけど……、えっと、以前、あおいさ……じゃなくて、昭平さんと話したことがあって」


 昭平の名前を聞き、あおいの目が興味を持ったように見開かれる。


「あの、昭平さん、本当に、あおいさんのことが大好きだって、そう言っていました。だから、手術を受けて欲しいって。

それで私、事故のこと、心配で……あおいさんがその後どうなったのか、ずっと気になっていて……だから、私……」


愛梨は完全にパニックに陥っていた。

 全然ダメだ、私! 意味分かんないよ。めちゃくちゃ怪しい人だよ、これじゃ不気味に思うよね!?

そう考えながら、しどろもどろに言葉をつなげる。


 その様子を見て、あおいは優しく微笑んだ。


「ありがとう。愛梨さん……だったわね? 不思議ね、あなたと会うのは初めてのはずなのに、なんだかずっと会えなかった仲のいい友達に再会したような、そんな気持ちになったわ」


 愛梨は涙がこみあげそうになるのをぐっと堪える。


「……手術、成功したんですよね?」


恐る恐る問いかけると、明るい笑顔が返ってきた。