「もしあなたがそれを望むなら、私が案内してさしあげます」
「白露さんっ!?」
愛梨はあおいに詰め寄り、声を張り上げた。
「あおいさん、死ぬなんて本気で考えていませんよね!?」
あおいは虚ろな瞳で床に視線を落としている。
白露は淡々と言葉を続けた。
「肉体に戻れば、あなたは再び痛みや苦しみと戦うことになります。昭平さんがいなくなったという、心の痛みにも耐えなければなりません。生きていくということは、苦しみと共にあるということです。その覚悟はありますか?」
「ずっと、考えていたんです。事故に遭った時に私も一緒に死ねば、昭ちゃんと一緒にいられるのかなって。
天国があるのかどうかは、分からないけど。これから手術を受けて、もし成功しても、身体が完全に回復するのには時間がかかります。苦しみに耐えながら、昭ちゃんのいない世界で生きるより、昭ちゃんのところに行けるなら、そっちの方がいいんじゃないかって。そう思っていました」
「その考えは、変わりましたか?」
白露に問われ、彼女は腕でぐいっと涙を拭う。
決意を固めた表情で、力強く頷いた。