意識が朦朧とする。

 自分の身体から、どんどん血が流れ出していく感覚があった。それでも這いずるように道路を移動し、昭平を求めて手を伸ばす。

 暴走した車に轢かれた昭平が、ぐったりした様子で近くに倒れていた。



 昭ちゃんが、私を守ってくれた……!

 頭ではそう理解するが、身体が動かない。


 車は壁に衝突して、フロントが大破している。運転手も意識を失っているらしく、ぐったりとハンドルに上半身を預けていた。

 あおいは目の前が真っ白になる。


 どうして……!? こうならないようにするために、神社に行くのをやめたのに!

 それでも彼を助けないとと、あおいは昭平に向かって必死に呼びかけた。


「昭ちゃん! 昭ちゃん! しっかりして……! すぐに、すぐに助けが来るから……!」


 細い腕が、身体全部が、恐怖でガタガタと震えている。地面を這うように身体を動かし、ようやく昭平の身体を掴む。


「……あ、おい……?」


 彼に名前を呼ばれ、あおいは昭平の腕にすがりつき、返事をする。


「昭ちゃん! 昭ちゃん、私の声聞こえる!?」


 困惑しながらも、昭平は自分の身に何が起きたのか、一瞬で理解したようだった。

 苦しげに手の平を持ち上げると、あおいの頬を撫でる。


「あおい、俺の話、聞いて」


 あおいは彼の手の平に自分の手を重ね、瞳に涙をためて頷いた。


「昭ちゃん!」

「大好きだ、あおい。俺はあおいに会えてよかった。お前が思っているよりも、ずっとあおいのことが好きだよ。だから、ずっと笑顔でいて」


 あおいはボロボロと涙を流しながら、必死に叫ぶ。


「昭ちゃん、嫌だ、置いて行かないで! 昭ちゃん、昭ちゃん!」