「知りたくないな、未来のことなんて。それに聞かなくても分かる。どんな未来でも、俺はずっとあおいの隣にいると思うよ」
ずっと側にいたい。あおいも心からそう願いながら、昭平の手を握る。
「……昭ちゃん、私、また手術を受けないといけないみたいなの」
「うん、聞いたよ」
「私、迷ってるんだ。もう、手術しなくてもいいかなって」
「どうして?」
「手術するとね、目がさめた時、すごく痛いの。痛くて痛くて苦しくて、一人で何にも出来なくて、呼吸さえまともに出来なくて。どうして自分はここにいるんだろうって思う。大きな手術を受けるのは、三回目になる。でも、もう後がないんだって。手術をするのも、体力を使うから。今回失敗したら、多分助からない」
「……あぁ」
「だったらもう苦しい思いをして、生き続けなくていいんじゃないかって思うの」
「あおい、それは……」
あおいは笑いながら言う。
「あのね、後ろ向きな言葉じゃないの。だって私、もともと高校生になるのは無理って言われてたんだよ? それなのに、こんなに長い時間生きられた。その間、ずっと昭ちゃんは側にいてくれた。私、すごく幸せだったよ。だから、もういいんじゃないかなって」
投げやりなわけではない。彼に伝えたいことはいくらでもあるのに、本当に今話す言葉がこれでいいのか、正解は分からない。