「そういえばブルーハワイって、一体何味なんだろうね」

「よく分からんが、トロピカルな感じじゃないか」


 後ろで二人を見守っていた愛梨は、心配そうに表情を曇らせる。


「あおいさん、すごく楽しそうだけど……ちょっと具合が悪そうですね。周りが暗いから分かりにくいけど、顔色もあんまりよくないような」


 白露はその言葉に静かに頷いた。


「そうですね。付き合いの長い彼なら、そのことにも気付いているはずです」



 昭平とあおいが歩いていると、少し離れた場所から声をかけられる。


「えっ、もしかして政木君!?」


 声をかけてきたのは、浴衣姿の少女四人組だ。昭平の姿を見つけて、彼女たちはきゃあきゃあと声をあげる。


「本当だ! 政木、こんな所で何してるの?」


 昭平はあっという間に女子たちに囲まれてしまった。


「何してるのって、普通に祭りに来たんだよ」

「えー、政木君って夏祭りとか来るキャラ!?」

「キャラっていうのが意味が分からないが、来るぞ普通に」


 彼女たちはその返答が嬉しかったのか、より声を高くした。


「ねぇねぇもしかしてその子、彼女?」

「まじで!? 意外、政木君ってそういうのいるの!?」

「こんにちはー! 政木君と同じクラスの者です」

「同じクラスの者ですって何だよ!」