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 一時帰宅の許可をもらった翌日、あおいは久しぶりに実家に帰り、両親や兄弟と家族団欒を楽しんでいた。

 あおいには妹と弟がいるようだ。二人とも優しい姉が大好きなようで、家のどこに行っても離れたくないというようにくっつき回っていた。


 そして翌日、予定通り昭平と夏祭りに行くことになった。

 あおいの母親は彼と親しいらしい。


「昭平君、いつもうちの娘がお世話になってて申し訳ないわ」


 昭平はピンと背中を伸ばし、真面目な表情でハキハキと答える。


「いえ、こちらこそせっかくの一時帰宅なのに、無理を言って連れ出してしまって申し訳ありません。あおいさんをしばらくお預かりします! 九時までには帰ってきますので」


 大きな声でそう言って、お辞儀をする。

 愛梨は彼の様子に感心して溜め息をついた。


「はぁー、昭平さんって本当に、今時珍しい責任感のある人ですねぇ」

「あおいさんの病気は簡単には治らないものみたいですからね。支える人間もそれなりの覚悟が必要なのでしょう」


 そんなことをしていると、玄関から浴衣姿のあおいが出てきた。


「お待たせ、昭ちゃん」