「あの……白露さん、質問があるんですが」

「何ですか?」

「あおいさんって……もしかして、その、この時間が終わったら……」


 怖くてその続きは、はっきりと声にならなかった。


 ――二度と会えなくなる前に、間に合わなくなる前に、大切な人に伝えたいことがあるんです。


 あおいはそう語っていた。

 それはきっと、永遠の別れを意味する言葉だ。

 切実なその声を思い出すと、胸がキリッと痛む。


 白露は愛梨の話を遮り、白い袴でゆらりゆらりと先を歩く。


「ここでうだうだ言っていてもしょうがないです。とにかく、あおいさんに会いに行きましょう」