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 影で二人の様子を見守っていた愛梨は、白露に問いかける。白露庵で働いている時の制服だと目立つので、今の愛梨は高校の制服姿だ。ちなみに隣にいる白露は存在感を薄くする術を使っているらしく、周囲の人間にはほとんど注目されない。


「白露さん、一体何をしたんですか?」

「園子さんの体感時間を変化させました」

「体感時間?」

「和田さんがこの店に滞在していたのは一時間ほどですが、園子さんの中では一週間経っているように感じています」


 愛梨は眉を寄せて考える。


「えっと……つまり、一週間旦那さんが連絡なしに行方不明ってことですか」 

「その通りです」


 愛梨は呆れて溜め息をついた。


「はぁ……それは心配するでしょうね。白露さん、相変わらず何でもありですね」


 白露は和田のいる方向に、そっと手を伸ばした。

 すると彼の手の中に、ふわふわと光の玉のような物が飛んでくる。

 白露はそれを素早く人差し指でつまみ上げた。

 光は嫌がるように白露から逃れようとするが、白露は口を開き、ぱくりとそれを食べてしまった。

 満足そうに目を細め、ぺろりと舌なめずりする。


「うむ、なかなか美味でした」


 愛梨は何だかな、と思いながらその光景を見つめていた。