園子の様子がいつもと違うとは思ったが……やはり彼女は自分を嫌っているのだろうか。
和田があからさまにしゅんとすると、園子は見かねたようにぼそぼそと付け足した。
「今日なんて、無理に決まってるでしょう。髪もボサボサだし、よれよれの服だし、靴だって潰れたスニーカーなんだから。どこか行くなら土曜か日曜だよ。ちゃんとした服着て、化粧もしていくから」
それを聞いた和田は、満面の笑みで何度も頷いた。
「久しぶりに、あの店に行かないか」
園子は和田が行きたい場所がどこか、すぐに分かったようだ。
「そうだね。シェフの人、いい人だったね。ずっと待っててくれて」
「うん、二人でまたあの店に行こう」
二人は頷き合うと、隣に並んでゆっくりと家への道を辿った。