□


 何度も礼を言って出ていく和田を見送りながら、愛梨はぽつりと呟いた。


「和田さんは、これからどうなるんでしょう?」

「さぁ、どうにもならないでしょう。現実は変わりませんよ。またセイウチにいじめ抜かれる日々です」


 それを聞いた愛梨は、しゅんとした様子で白露に目をやる。


「和田さん、少し可哀想です。どうにかなりませんか? せっかく園子さんの気持ちが分かったんだから、現在でだって、もっと幸せになれると思うんですけど」


 白露はしばらく押し黙っていたけれど、やがて深い溜め息をつく。


「まったく、しょうがないですね。これでは確かにお代がまだ足りませんし、少しだけおまけをつけてあげましょうか」