予想外の出来事に、和田はしどろもどろになりながらも何とか返答する。

 前回の時にはなかった展開だ。


「えっと、でも、時間はもうとっくに過ぎてしまって……お店も閉店時間だし、迷惑をかけてしまって……」

「いいんですよ。和田様のために作った料理です。さぁ、どうぞ」


 そう言われ店に入ると、真っ暗な店内に一席だけ、キャンドルが灯された。

 ガラスの容器の中でゆらゆらと揺れる炎は、幻想的で思わず見とれてしまう。

 園子と和田が席につくと、懐かしい料理たちが運ばれてきた。

 和田と園子は顔を見合わせ、微笑んで食事を始める。


 二人はシェフの計らいに感謝しながら、ゆっくりと料理を楽しんだ。

 そんな二人を見守ってくれるウエイターたちも、皆優しい表情だった。

 以前の思い出とは違った形になったけれど、和田と園子には、かけがえのない時間として、確かに今日という一日が刻まれた。