「若いなぁー。はぁ、俺も年をとったんだなぁ……昔は元気だったんだ」

「新社会人という感じですね」


 背後から突然声をかけられ、和田は驚いて悲鳴をあげた。

 和田の後ろにはさっきの二人、白露と愛梨が立っていた。


「白露さんと愛梨さんもいるんですか」


 愛梨は張り切った様子で返事をする。


「はい、もちろんです! 和田さんのことを全力でサポートさせていただきます」


 和田は困惑しながら頭をかいた。


「うーん、やっぱり夢なのかなぁ……それか俺、働き過ぎてとうとう頭がおかしくなっちゃったのかなぁ」


 白露は持っていた扇子を口元に当て、目を細めて楽しげに笑う。


「どちらでもかまわないのでは? 

聞くところによると、人生の三分の一の時間は睡眠が占めているそうじゃないですか。となれば、あなたが現実だと思って過ごしている時間の方が夢物語でないと、どうしてそう言い切れるのでしょう」


 和田は頭を抱えて考えこんでしまう。愛梨は彼の背中を叩いて声をかけた。


「とっとにかく、せっかく過去に戻ったのですし、楽しんでください!」

「楽しむと言ってもなぁ」