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 そんな姿を見ながら、白露は彼女の命を助けた時のことを思い出していた。 



『どうして私だったんですか?』



 問われたその言葉に、心の中で返事をする。


 ――私の命は常に、あなたの傍らにある。


 私には、人間が美しいものか醜いものか分からない。

 でも、あなたといれば美しいものだと、そう信じられるような気がしたんですよ。