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呆然としている男が二人、崖下を覗き込んでいる。
青龍の子供の声を聞きつけて男たちを発見した白露は、怒りで我を忘れた。
「決して許されないことをしたな、人間の男。動物の命をいたずらに奪うだけでなく、人間の子供にも手をかけるとは。その報いを受けよ」
山全体に轟くような低い声でそう言い放つと、白露の金色の目が強い怒りを帯びて輝く。
瞬間、周囲が真っ白な光に染められる。
男たちは恐怖で強ばった表情でその場に立ちすくむ。
白露は男たちに報復を与えた。
彼らの記憶を、消し去った。
自分たちが青龍を捕まえようとした出来事だけでなく――この世に生を受けてからの、彼らの記憶すべてを奪った。
男たちは何が起こったのか分からない様子で、口から涎を垂らして地面に倒れた。
それからだらしなく空を眺めた。どうやって立ち上がるのか、どうやって喋るのかさえも忘れ、芋虫のように地面に横たわっている。
それから白露は、近くで縮こまって怯えている少女の頭を優しく撫でた。
するとみさきは糸が切れたようにその場に倒れ、意識を失った。
男たちの始末が終わると、白露はすぐさま崖を下る。
崖を一番下まで降りたところに、愛梨は倒れていた。
愛梨の頭から、止めどなく血が流れている。
青龍の子供がきゅうきゅうと涙を流しながら、必死に愛梨の傷口を舐めていた。
「愛梨っ! しっかりしなさい、愛梨!」
白露は彼女の顔に触れ、必死に訴えかけた。