「だから、それが分かんないのよ。憧れ? あたしが? あたしなんかより、ずっとあんたの方が……」


 ひかりは天使のように純粋な笑みで、鏡華に羨望の眼差しを向ける。


「鏡華ちゃんは覚えてないかもしれないけど。私ね、この学校に入学したばかりの頃あった発表会で、主役を任されて。

分からないことだらけだし、同じクラスの子にも、私は主役に相応しくないって悪口を言われたり、嫌がらせされたりしてたんだ。

実際その通りだって思ったし、本番の直前、すっごい怖くて。震えが止まらなくて、やっぱり辞退させてくださいって言おうと思って。

そうしたら演技が終わったばっかりの鏡華ちゃんが、私のことを見て、『主役なら堂々としなさい!』って、叱ってくれたんだ」


 ひかりは一気に喋り終わると、頬を赤くして嬉しそうに続ける。


「あの時はまだレッスンでもほとんど一緒になったことがなかったけど、あの一言に、すっごく勇気づけられたの。それから私、辛いことがあったら、ずっと鏡華ちゃんの言葉を思い出して、頑張ってたんだ」


 その言葉に、顔が熱くなる。

 確かにそんなことを言ったかもしれない。


「別に、励まそうとか思ってないし。ただ、主役なのに暗い顔してるのにイライラして怒鳴っただけよ」

「うん、それでもいいの。ありがとうって、ずっとお礼が言いたかったんだ。やっと言えた!」



 ……あぁ、ひかりの笑顔って、やっぱりキラキラしてる。

 ひかりなんて、大嫌いだけど。

 だけど、こいつの笑顔が自分に向いているのは、悪くない。


 そんなことを考えていると、全身が眩い光に包まれ、飲み込まれた。