□
「本当にあたしのことが分かるのね。あの日食べたフルーツパフェにそっくりだわ」
さっきまでの警戒していた様子を少しだけ解いて、鏡華は感心したように白露と愛梨を見上げる。
鏡華の驚いた表情はどこにでもいる普通の少女そのもので、愛梨は少しほっとした。
さっきまでの鏡華は鬼気迫るといった様子で、この世のすべてが敵だと考えているような態度だった。
「これって、食べたら太るの?」
白露が落ち着いた声で答える。
「普通のパフェ相当のカロリーはございますけれど。やめますか?」
鏡華はスプーンを手に取ると、むっとしたように眉を寄せた。元々きつい目つきがさらにきつくなる。
「一応聞いただけよ。こんな所まで来て、今更やめないわよ。体重管理に気を遣ってるから。これ食べたら、終わった後有酸素運動四時間増やさないと」
愛梨は思ったことを素直に口にする。
「ストイックなんですね」
鏡華は意地悪そうに口端を上げ、スプーンで愛梨の顔を指す。
「そこまでストイックな人間が、他のダンサーにケガをさせるなんて納得いかないって顔してるわ」
「わ、私は……」
鏡華はスプーンを口に運び、ぱくりとパフェを頬張る。
「ん、おいし」