愛梨はキッチンから、椅子に座って前を見据えている鏡華の様子を眺めた。


「ひとまずいつものように、成り行きを見守りましょう」

「はい……」


 盆を運びながら、愛梨はちらりと白露を見やった。

 白露は常に飄々としている。

 感情もほとんど表に出ないし、正直何を考えているのかさっぱり分からない。

 人を幸せにするためにこのお店をやっているはずだけど、たまにものすごく冷たい目をする時もある。

 愛梨は自分の気持ちを呑み込めないまま、鏡華の待つテーブルに足を進めた。