「直接俺に聞かないから勘違いするんだろ。今度から疑問に思ったことはすぐ聞け。アイツと姉貴をごっちゃにした存在を彼女だと思われてたなんて、普通に気持ち悪い」
「ごめんなさい」
「いや、なんでお前はすぐ責められてるみたいな顔すんだよ」
「……だって」
「面白いよ、お前。ついでにそんなくそみたいな勘違いしてたなんて普通にバカで可愛い」
「……っ」
私はヒロの顔が見れなくなって不自然に前髪を触る。
可愛いなんて、ヒロはそんなこと言わないタイプだと思ってたから不意討ちすぎるっていうか……。
誰かに可愛いなんて言われたのはヒロが初めてだって言ったら、また笑われてしまうだろうか。
「ってか、なんでそんなところに突っ立ったままなの?こっちに来れば」
ヒロがそう言ってソファーを指さす。
私は本当に借りてきた猫みたいにちょこんとヒロの隣へと座る。ふたりがけのソファーは自然と距離が近くて、動くと肩が当たりそうになってしまう。
ただでさえヒロの匂いがする部屋なのに、隣に座ったら余計に香りが強くてクラクラしそうになった。