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わたしは人魚。
海の底で暮らしている。
夜になると、はるか頭上の水面を月明かりが照らして、無数の月光の筋が、深い深い海の底に射し込んでくる。
海底の真っ白な砂粒に、きらきらと輝く月明かりで網目の模様。
とっても綺麗。
わたしはふわふわと漂いながら、うっとりと頬杖をついて光の洪水を眺める。
両手を広げてみると、
わたしの腕にも、胸にも、お腹にも、鱗にも、きらきらと月の光が模様を作っていた。
あぁ………。
なんてきれいなの、夜の海って!
朝の海も、昼の海も、わたしは大好き。
でもやっぱり、夜の海が最高。
月の光を受けて真珠のように輝く波。
明るい緑に煌めく夜光虫が、波に寄せられてさざめく様子。
わたしは楽しくなって、ゆらゆらと波に身を任せた。
ゆぅらりと流されていく。
色とりどりの小さな魚たちが、わたしの周りでくるくる廻って、すてきなダンスを踊る。
イソギンチャクたちが、波に揺られて楽しげにゆらめいている。
彼らに向かってにっこりと微笑みかけ、わたしは波間を漂いつづけた。