部活を先に終えたのが私だったため、変に勘ぐられないようにわざとゆっくり着替えをして他のメンバーが帰ってから門の前まで行って修司を待った。


外はまだ少し明るいけど、文化祭を迎える頃には日が落ちるのも早くなってるんだろうな。

鞄からスマホを取り出すと、珍しく香乃からのLINEは入ってなかった。


友達のツイッターやネットニュースを見ていると、校舎の方から話し声が聞こえてきた。

そろそろ来るかな。

落ち着いているようで実は物凄く緊張していること、修司にバレないよね。


近付いて来た足音は、男バスのメンバーだった。

先輩たちが誰を待ってるんだといわんばかりに私の方をチラチラ見ながら通り過ぎて行く。

なんだか恥ずかしくて、私はわざとスマホをいじりながら顔を見られないように視線を下げた。



「ごめん、遅くなった」

その少し後に修司がやって来た。


「ううん」

「じゃー行こうか」


修司は歩くのが早くて、離されそうになると私も歩く速度を上げる。

ラッキーロードにつくまでずっとそんな感じで、修司の横に並ぼうと必死だった。

人に合わせて歩いたことは無かったけど、修司の隣にいたくて、この貴重な短い時間を大切にしたかったから。


百均につくと早速中に入り文具コーナーで画用紙、飾りつけに使えそうな小物などを見て回った。


「看板用のでっかい紙は学校で用意してくれるから、飾りつけとかメニューを書いたりもしないとな」

「うん。お店の前に置くメニューは、紙よりもコルクボードとかの方が雰囲気出ていいんじゃない?」

「それナイスアイデア!ついでに事前に練習で作った時に写真撮って、それも一緒に貼ったら分かりやすいかもな」

「いいね~。原宿とかにありそうなポップな感じのお店を目指そうよ」

「ポップコーンだけにな」


大きな口を開けて店内に響き渡るほどの声で笑い合う私達。

うるさくて迷惑だったかもしれない、だけど今の気持ちを抑えたくなかったし、楽しいという感情を修司と共有したかった。


文化委員に私と修司が立候補したことは本当に偶然で、こういうのを運命の始まりというのかもしれない。

そんな風に思ってしまうほど、私の気持は真っ直ぐ修司に向けられていた。


「とりあえずだいたい分かったから、またみんなと相談して買いに来よう」


そう言いながら、修司は自分が買いたかったペンを買ってお店を出た。