*** 奈々が消えてから、どれくらい経っただろう。 いつもはうるさいくらいの教室の中、ひとりでいるのはやっぱり少し寂しい。 最後の最後にやっと〝奈々〟って呼べた俺は本当はどうしようもなく臆病で、お前に説教できるような立場じゃないんだ。 でもよかった。 最後に、背中を押すことが出来て。 今頃きっとあいつは、泣きながら……笑ってるはずだから。 不格好な手袋を目の前にかざした時 白い光が 俺の手を包み込んだ……。 ***