病院を出ると、まだ外は薄暗かった。 「ごめんね」 「なにが?」 「巻き込んじゃって……」 「別に巻き込まれたなんて思ってねーよ」 巻き込まれたわけじゃない。 俺が自分から、お前の側に駆け寄ったんだ。 好きだから。 樋口奈々のことが、大好きだから……。 お前の話を聞かせてほしい。 たとえばあの時なにを思っていたのか、なんで笑ってたのか。 なんで……泣いていたのかを……。