「中岡に見せて許可もらえばイケると思うよ」
タラシでチャラい中岡君だけど
彼が認める物は必ずヒットする。
ザ・見極め人。
「わかりました。商品の最終サンプルは二週間後を予定してます。あ、中岡さーん発見」
僕に言いながら目線は中岡を捕え、ダッシュで中岡に走って行った。
最終サンプルは二週間後か
スズメに渡したいけど
間に合わないかも。
スケジュール帳をチェックするふりをして、ただひたすら今月のカレンダーを見つめる。
スズメとお別れまで
あと10日間のカウントダウン。
時間の経過が早すぎる。
タメ息しか出ない。
家に現れた時は驚いて
早く追い出そうと必死だったのに
困ったな。
家では明るくスズメとお別れしようと
無理して寂しさを封印し
普段通りに過ごしてるけど
「……まいった」
弱音を吐いて机に突っ伏す。
僕がまいっても
スズメには婚約者がいるんだけどね。
「……だけどね」
人を好きになるって
やっかいだな。
人じゃなくて鳥かもしれないけど。