「スズメは期間限定です。あと一ヶ月で居なくなります。それまでにご主人様は木之内さんとつがいになって、幸せになって欲しいのです」
彼女は堂々と言い切った。
「木之内さんじゃなくて、僕はスズメと一緒に居たいんだ」
「スズメは期間限定なんです。スズメが雀に戻ったらどうやって会話するのです?ご主人様はスズメ語ができますか?鳥の中でも難しいんですよスズメ語は」
スズメ語って、まだそんな事を言うのか?
あきれてしまう。
「スズメいいかげんに……」
「スズメには決まった相手がいるんです!」
叫ぶようなスズメの声に
僕のカッとなった心が急激に冷めてゆく。
「スズメには、つがいの相手がいるのです」
目に涙を浮かべ彼女は言う。
「スズメは一ヶ月後に挙式です。つがいになるのです。だからご主人様にも素敵なお相手と一緒になって、幸せになってもらいたいのです」
こらえきれなくなったように
スズメはその場に崩れて泣きだした。
僕は
何も考えられなくなって
ただ
座り込んで泣いている
スズメを見守るだけだった。