愛する人を失うのが怖くて
人と壁を作ってしまう僕。

こんなへタレた僕だけど

傍にいて欲しい。

目を閉じて深呼吸。
自分の中で集中して意識を整える。

僕はパジャマのまま寝室を飛び出すと
スズメはもう着替えたのか
エプロン姿でベランダで仲間と会話中。

まったく素早い。

茶色い髪をフワフワさせて
仲間とちゅんちゅんにぎやかに会話中。

ジッと様子を見ていると
満面の笑みの彼女と目が合い
スズメはベランダから降り
強張った顔をした僕の前にやってきた。

「ご主人様?」

「話があるんだ」

僕はゆっくり彼女に言う。

「期間限定じゃなくて、ずっとここに居て欲しい」と……。

「ご主人様」

「あと一ヶ月じゃなくて、ずっとここに居て欲しい。僕の傍にいて欲しい。人と壁を作って上手く恋愛ができない僕だけど、今までの気持ちと違う。こんな気持ちになって自分から失いたくないって思うのは……」

「ご主人様」

「いや、最後まで聞いて……」

「聞けません」

今までにないくらい
彼女はピシャリと僕の言葉をはじき飛ばす。