「あの……スズメ」
「何でしょうかご主人様」
「僕……君に……その、あの何かした……かな?」
スズメは首を傾げて不思議そうな顔をした。
『ちゅん』って声が聞こえそう。
「えーっとですね。布団の取り合いをして、ご主人様が私のおでこをパンって叩いたから、私がご主人様のアゴをグーでアッパーしました」
言葉が出ない。
「以上でーす。先に行きまーす」
スズメは朝から元気いっぱい。
どうやら
僕が想像した変な出来事はなかったようだ。
よかった。
まさか
同じベッドで寝てたとは。
でも
熟睡できた。
誰にも話した事のない苦しい過去を、彼女は黙って聞いてくれた。
僕が苦しむと家族が泣く……って、言ってたっけ
彼女が傍にいると
温かくて安心できた。
おひさまの匂いがする女の子。
元気で前向きで
口うるさいけど優しくて
こんな僕を支えてくれる。
ずっと傍にいて欲しい。
スズメは僕にとって
こんなにも大切な存在になっている。