鼻がくすぐったい。
腕の中で何かがモゾモゾしている。
そうか
僕はやっと犬を飼ったのか。
うん。本当はすごく欲しかったんだ。
でも、ムクムクと動き回るそれは本当に落ち着きがない。
小型犬を飼ったつもりが大型犬だったっけ?
あぁとても温かい。
温かくておひさまの匂いがする。
とっても愛しくて大切な存在。
散歩に連れて行かなくちゃ。
リードあったっけ?それも買ってた?
薄らぼんやりと目を開けると
僕の鼻をくすぐっているのは茶色い髪の毛。
そして
僕の腕の中で寝返りを打っているのは
小柄な女の子。
「すっ……す……スズメっ!」
一気に目が覚めた。
スズメが僕のベッドに居る!
僕はスズメを抱きながら寝てた?
変な事やらかしてないか?
記憶がない。
「あーご主人様。おはようございますぅ」
小さな口で大きなあくびをし、平然とスズメは僕の腕の中で目を開ける。
僕は慌てて彼女を離して上半身を起こし、壁にベットリ忍者のように貼り付いた。
「ゆっくり寝れましたか?」
ベッドの中で精一杯の伸びをしながら僕に聞く。
「うっ……うん、そうだね寝れた」
「それはよかったです。さて朝食の支度でもいたしましょうか」
ごくごく普通に彼女は言い
ベッドから飛び起きて
また大きく伸びをした。