「ご家族は見守ってます。ご主人様が生き残ってくれて喜んでます。誰も家族を恨んだりしません」
「ありがとう。でも……」
「ご主人様がご家族を愛しているように、ご家族もご主人様を愛してます。ご主人様がそんな風に思ってるなんて天国のご家族がかわいそうです。泣いてます。自分を責めないで下さい」
家族が泣いてる?
「ご家族はご主人様が笑ってる姿を見るのが好きなんです。ご主人様が幸せになるのが夢なんです。スズメと一緒です。逆にご主人様が亡くなっていて、お兄さんが生き残っていて、お兄さんがそんな風に思っていたらどう感じます?悲しくないですか?」
「スズメ」
暗闇の部屋の中
スズメの必死な声が響く。
「だから、そんな風に思わないで下さい。ご主人様は悪くありません」
僕の罪はスズメの言葉に包まれ
少しだけ軽くなり
頭の中に
昔見た家族の笑顔が浮かぶ。
僕の気持ちを見透かしたように、スズメの声が明るくなった。
「さぁ寝て下さい。スズメがおまじないをかけてあげます」
「おまじない?」
「はい。悪い夢をバクさんに食べてもらいましょう『ばくさん たべてくださいな』ほら、ご主人様も言って下さい」
「え?」
「早く言う!」
「はい『ばくさん たべてくださいな』」
怒られて
反射的につられて言う僕。