「いつも見るんですか」

「うん。子供の頃からずっとね」

「怖い夢ですか?」

「うん……そうだね。でも、もう大丈夫。起こしてごめん。戻って寝て」

「スズメはご主人様が寝るまでここに居ます。また悪い夢を見ないように見張ってます」

真剣に言うから笑ってしまう。

「笑わないで下さい。ほら早く横になって下さい」

僕はスズメに半分怒られながら
またベッドに横たわり目を閉じる。

「スズメが傍におりますから。もう何も怖くないですからね」

目を閉じても
そのドヤ顔が浮かんで笑ってしまう。

「また笑う!」

「ごめんごめん」

繋がれた小さな手が
今この瞬間
僕にどれだけの力と安らぎを与えているのか
彼女は知らないだろう。

ベッドの下に座ってる小柄な女の子は、ダンジョンのドラゴンを倒せるぐらい強い力を持ってそうだ。
そして僕はヘタレたスライム。

僕の存在は小さくて悲しいね。

「スズメ」

「はい」

「僕の罪を聞いてくれる?」

「はい聞きます」

「僕はね……家族を殺したんだ」

目を閉じたまま僕は言う。

繋がれた彼女の手に力が入った。