目の前が暗くなる。
真っ暗だ。

息が苦しい。
呼吸ができない。
あぁ僕はこのまま死ぬんだ。

いいよ早く死にたい

もうひとりは嫌だ

家族の元に行きたい。

フェードアウト寸前の意識の中
僕の耳元で鋭い声が聞こえた。

「ご主人様っ!」

そのスズメの叫ぶような声で我に返り、僕は反射的にベッドから身体を起こす。

冷たい汗が身体を伝う。

「ご主人様?」
心配そうなスズメの顔を見て
枕元の時計を覗くと夜中の3時。

久し振りに
あの夢を見たのか。

「たくさんうなされてました。どこか痛いです?救急車呼びましょうか?」
半泣きでスズメが聞くけど
僕は首を横に振る。

「ごめんね。いつも見る悪い夢を見たんだ。ずっと見てなかったから油断してたかも」
苦笑いで言うと
スズメは少し安心してくれた。

「ただの夢なんだ。騒がせてごめん」

「ご主人様」

スズメは僕のベッドの下に座り込み
そっと手を伸ばして僕の手を握る。

小さな手は温かい。