それから数週間
そう
夏の終わりが近づくまで
仕事が本当に忙しく
スズメも木之内さんの事を、僕に言うのを遠慮していたようだ。
少しは空気読んでる?
木之内さんとは、あれから少し気まずさはあったけど
ごく普通の同僚として
仕事をしているはずって……僕は思ったけど
中岡は見抜いてた。
『亀ちゃん。まだ彼女は亀ちゃんを追ってるよ。そんで心で泣いてるわ』
さりげなーく言われた。
どうしたもんだか。
頭が痛い。
スズメが来て二ヶ月過ぎた。ラスト一ヶ月。
「そろそろ、ご主人様に頑張ってもらわなきゃ」
カレンダーをめくり
また細く冷たい目で僕を見る。
「仕事が終わらなくて」
逆に仕事の忙しい時期でよかった。
「ご主人様の会社は忙しすぎます」
終電で帰ると
お茶漬けが用意されていた。ありがたい。
「先に寝ていていいんだよ。食事の支度もいいよ。スズメだって働いてるのだから疲れてるだろう」
今日社内でスズメを見かけると
新人に仕事を教えていた。
この二ヶ月でお掃除の達人になっている。
彼女が来てから
気のせいか会社の床がピカピカだ。
「スズメは大丈夫です。ただ時間が無いから焦ってます」
ジッと僕の顔を見るから
僕は彼女の目を避けて
お茶漬けをガーッと口に流し込む。