「もうあと二ヶ月しかありません。スズメの最終ミッションはアレです」
眉間にシワをよせながら
スズメはこのシンプルな部屋に似合わない色紙を箸で指す。

箸で指してはいけません。

【ご主人様を幸せにするbyスズメ】
ヘタウマな字が味があるというのか、イラっとくるというのか。

「ご主人様が動かないと、この大人しくて優しいスズメも怒りますよ」

「いつも怒ってるでしょう。そしてもう一ヶ月経った……経ったんだ……あ、今日って何日だっけ」
手元に置いてるスマホで日にちを確認し
慌てて僕は自分の部屋に飛び込んだ。

「ご主人様っ!お行儀が悪いです」
スズメがピーピー騒いでるけど、僕はパソコンを立ち上げて深呼吸。

もう何度目だろう
悪い意味で慣れてしまって
すっかり忘れていた。
昔は絶対忘れなかったのに。

メールをチェックすると出版社から新着メールが届いていた。

届くって事は……。

ゆっくりマウスを動かしてクリックすると

【一次審査通過のお知らせ】

「やった」思わず声が出ると、スズメが後ろからパソコンを不思議そうな顔で覗き込む。

僕はドキドキしながら別窓で出版社のサイトへ行くと
応募していた作品が、一次審査通過枠に入り30作品の中に並んでいた。

「ご主人様の小説ですか?」

「うん。第一関門突破」

「やったー!」

ふいに背中が急に温かくなり、柔らかいものに包まれた。