木之内さんは少し考えてから、自分のお昼を片付けて小さなバックに入れる。
「ずっと僕が傍にいるから」
「はい」
「嫌だなーって思ったら僕の足でも蹴って合図して。すぐ場所変えしよう」
「私の蹴りは強くて痛いですよ」
「ガマンするから大丈夫」
そんな会話で彼女の気持ちは柔らかくなったのか
にっこり笑って僕を見た。
スズメの笑顔と似ている。
ほら、笑った方が何倍も魅力的。
「行こう」って
僕は自然に手を出すと、彼女は嫌がらず僕の手を握る。
僕からすれば
部屋から出ない幼稚園児の女の子を外に出した先生気分だったけど、彼女は違ったようだ。
僕は全然
彼女の気持ちに気付いてなかった。