三日後の会議では
前回とまるで違う会議になっていて、木之内さんは驚いていた。

一回目は人の意見を聴き
自分の改善点など照らし合わせていたのだけれど
二回目からはグイグイアピール。
そして他人のアイデアのダメ出し。

だいたい新人は要領が悪くて標的にされて撃沈。
会議の後は抜け殻になる。

もちろん今回も例外ではなく
木之内さんは撃沈。

自分の言った意見を理路整然と否定されて撃沈。

会議が終わっても
しばらく椅子から立ち上がれずに終わってる。

普通なら『こんなもんだよ、すぐ慣れるから大丈夫』って励まして、飲みに行って交流を深めて仲良くなるんだけど今回は難しそう。

だって
女子社員には女子が声をかけるはずだけど
木之内さんに声をかける女子社員はいなかった。
会議が終わるとみんなさっさと部屋から出てしまっている。

彼女に声をかける女子がいない。

「俺の出番」
ニヤニヤと中岡が木之内さんの傍によるけれどシャットアウトの拒絶。

僕に肩をすくめて部屋を出る。

残ったのは僕と木之内さん。

彼女はまだ椅子に座って怖い顔で書類を見ていた。

えーっと……どうしよう。

「あの、木之内さん」

僕がそっと彼女に声をかけると
彼女は肩を震わせながら僕の顔をキッと見上げた。

泣いてる?怒りながら泣いてる?

どっどうしよう。
こんなツーショットで泣かれても……どうしよう。