「コストがかかります」

「要領が悪いと思います」

「長続きしません」

広報部との合同会議で木之内さんが吠えていた。

否定的というのか
安全策を狙うというのか。

綺麗な顔でテキパキと強気発言をする木之内さんを見て、なぜか男子社員はウットリする率が高い。

「いやカッコいいわ萌える」
そんな中岡の発言に呆れながら、女子社員の冷たい目も気になってしまう。
その冷たい目は僕ら男子社員に対してなのか、木之内さんに対してなのかわからないけど。

若者向けの目薬を売り出す会議は、色んな意見が出たけれどまとまらず終わる。

だいたい
第一回目はこんなもの。
それぞれの意見を受け止めて、自分の考えをまた冷静に見つめ直して様子を見る。

でも木之内さんは必死で吠えていた。

その場の空気はいつもと違って
妙に浮いた感じの会議になってしまった。
だから
三日後にもう一度集まる話になり解散。

ヒールを強く鳴らして部屋を出る木之内さんが気になって、僕は考えもせず追いかけてしまった。

自分の行動が不思議。
人と関わるのが苦手なくせに
なんとなく気になって、追いかけてしまう。

誰の影響だろう。

きっとスズメ。