「ごちそうさまでした」
そして彼女は満足そうにまた両手を合わせ、きちんとご挨拶。
幸せそうにペロリ完食。
のり弁も喜んでるだろう。
「えーっと……スズメさん」
「はいっ!」
そのキラキラした目をやめてほしい。
汚れてる自分の心が恥ずかしくなる。
「お話を聞かせて下さい」
ほうじ茶を淹れて彼女に差し出すと
「ありがとうございます。わぁ、いい言葉が書いてますね」
数年前のお正月にスーパーのお年始でもらった、相田みつをの湯のみを見て彼女は感心していた。
【いまから ここから】
みつをさん。いまからここから、僕はどうなるのでしょう。
不安を感じていると
「私は、亀山さんに命を助けられた雀です」
堂々と軽やかに彼女は言う。
不安的中。
突っ込みたいけど、もう少し我慢しよう。
「二日前の朝のゴミ出しの日を覚えてますか?あの時、私はゴミのネットに足を絡ませ猫に狙われてました」
早く突っ込みたくなってきた。
「あの猫。超怖いんです。仲間もヤツにやられました。食べるとかじゃないんですよ、ただいたぶって手を出すんです。いや、わかりますよ。都会の野良猫には住みずらい世の中なんです。わかるけどそれは猫だけの話じゃなくて、雀だってオケラだってアメンボだって、みんなみんなストレス社会なんです」
僕らはみんな生きているからね。
「もう人生終わった。雀の涙を流していたら亀山さんが現れました」
ぱぁーっと彼女の顔が輝く。