「可愛いと別れがつらくなる。だからペットは飼わない」
正直に言うと彼女は返事をせず、ただ不思議な顔をする。
「可愛がって死なれるのがつらい。だから飼わない」
立ち上がって歩き出すと
「それは違いますよ」
初めて彼女は怒っていた。
「その考えは違います。ペットに謝って下さい。ペットに失礼です」
「でも」
「ご主人様はヘタレです。弱虫です!」
スズメはそう言って買い物袋を振り回して走り出し、僕のずーっと前に行ったところで
転んだ。
玉子を持って
転んだ。
ぐしゃっと玉子が崩れた音とスズメの泣き声が、遠くの僕まで聞こえた気がした。
ショックで起き上がれないようだ
これは
かなりへこんでるぞ。