『早く行かないと売り切れます』
買う前から力の入ったスズメに急かされながら朝食を食べ、一緒に商店街へ走る。

無事に玉子をゲットし
ついでに他の食材も買い
幸せそうに歩くスズメ。

「お昼はパスタにしましょうか?夜は冷やし中華もいいですね。あ、麺が続くか」

彼女の頭の中は食事ばかりで笑ってしまう。

太陽がジリジリと僕達を狙い始め、早く食材を冷蔵庫に入れなきゃって思って歩いているとスズメの足が止まる。

「可愛いですね」

商店街の端にあるのはペットショップ。
小型犬が並んでる。

「猫は怖いけど、犬は好きです」
堂々と僕に言うけど
似たようなのだろう。

「同じ仲間のインコとかの方がいいんじゃない?」って聞いたら

「インコは……俺様で上からだから……」目を細めて遠くを見つめる。
どんなトラウマがあるのだろうか。

「金魚は?」

「非常食で飼う手もありますね」
金魚も食材なの?怖っ。

「ご主人様。このトイプードル可愛いですよ」
膝を揃えて座り込み、茶色いトイプードルを見つめて彼女は微笑む。

「可愛いから飼いましょう!」

その単細胞な考え方。
シンプルでうらやましい。

僕は一緒に隣に座り込みトイプードルを見つめる。

「可愛いから飼えない」

「え?」スズメは首を傾げて僕を見る。