「明日の土曜日と日曜日のご予定はありますか?」
ふいに聞かれて「えっ?」って返事。
「ご予定に合わせてご飯の支度がありますし、ひとりでボーッとしたかったら、スズメは邪魔になるのでどこかに飛びますので言って下さい」
飛ぶの?
「徹夜で小説の創作がありましたら、スズメは一晩帰りません」
「家に帰る?」
ドキドキと希望を込めてそう聞くと
「ネットカフェという便利なものが、世の中にはあるのですよご主人様」
ドヤ顔で答えるスズメ。
いやそっちじゃなくて自分の家に帰りなさいっ!
「創作の方は、昨日一息ついたから大丈夫」
つい口がすべって言ってしまった。
小説を書いているのは誰にも秘密なのに。
苦い顔する僕を気にせず
スズメは「おめでとうございます。出版社に持って行くのですか?スズメも行きます!」
羽をバタバタしているように
身体をその場でバタバタさせていた。
「いや違う。公募に応募した」
昨日
見直してパソコンから応募した。
「結果はいつです?」
「三ヶ月後」
「お祝いしましょうね」
「無理だと思う。倍率も高いし、僕なんて落ちてばかりだから」
「ご主人様」
ネガティブ思考の僕の考えを見透かすように、スズメは泡だらけの手を洗ってエプロンで拭き僕の目を見て
「スズメは絶対イケると思います」
キッパリ言い
親指を立てた。
小さいくせに
大きな威圧感があり
僕はただ
台所から溢れる変なオーラに圧倒されていた。