広報部からの帰り道。
偶然、木之内さんと一緒になった。

彼女は厚いバインダーを何冊も抱え、今日も背筋を伸ばして怖い顔して歩いてる。

「少し持つよ」
横から手を伸ばしたら

「けっこうです」ってピシャリと拒否され一歩引く。

ガードというのか
敵意を感じる。
僕、何かしました?

理不尽な気持ちで眉間にシワを寄せてたら

「お前で三人目―」
軽ーい声と顔が急接近。

中岡よ
机の上にある仕事は終わったのか?
今日は可愛い子達と合コンだろう。
泣きついても手伝わないよ。

「あーんな冷たい声で拒否されるんなら、お尻ぐらい触ればよかった」

「セクハラ」

「亀ちゃんだってそう思うだろ。でもさーあの冷たさが萌えるよねー。社長のご令嬢だもんねー逆タマ……おいっ!俺の話に付き合えよ」

付き合ってられない。

中岡をスルーして自分の席に戻ると、木之内さんはバインダーを並べて壁を作り仕事をしていた。

必死な彼女が気になってしまう。

壁を作る彼女の姿を見て

過去の自分を重ねてしまう僕だった。