スズメに差し出されたティッシュを手にして目元を押さえると、水分が吸収される。

泣いてた?僕。

「ご主人様は、涙を流されて寝てました」

泣いてた?

「私の歌を聴きながら泣いてました」

スズメの歌声。
懐かしい歌。
いや
僕は夢を見ていたんだ。

今はもう絶対手に入らない
優しい家族と楽しく過ごしている夢を見ていた。

「ご主人様」

「あ……いや、あの……違うんだ」

「ご主人様」

目の前の女の子は決意を込めて僕の手を強く握る。

「私にお任せを!」

「はぁ?」

「このスズメがもうご主人様を泣かせません。必ず必ず幸せにしてご主人様を守りますっ!」

「えっ?あの違うんだ。この家から出て行って……」

「三ヶ月間。私、頑張りますからっ!」

目の前で感動して号泣する女の子。



どうしよう

また

追い出せなかった。